角度がとれない原因は、だいたい走らせ方にあります。走らせるときの意識からみていきます。
スピードを出すことを意識して走ってると、スピードが最大になる角度(=アビーム)にむかってどんどんベアしていってしまいがちです。オーバーパワーでは特に。最大限に上る意識で走ったほうがいいです。
一方で上ろうとしすぎてスピードが落ちたり、パワーが抜けてふらついたりすると、どんどんリーウェイします。内側のテルテールが乱れまくるほど上ってるのに、どうして下の船にくっついていくんだよ!?ってことになります。高さをとるには、安定したパワーでスピードが出ていることが必要です。
高さを最大にとることを目標にし、そのうえで、高さをとるために必要だから絶対にスピードを落とさない、という意識で走るようにしたら高さがとれるようになりました。ぎりぎり上って走るほど、(簡単に失速するので)スピードに対して繊細になる必要があります。
船が自然に走ろうとするのに任せていても高さはとれません。スキッパーが自分の意志で、スピードと高さが両立するぎりぎりの角度に、ティラーを使って船をのせ続ける必要があります。(セッティングのでたマッケイだと、船に任せていてもちゃんと走ります。セッティングの問題なのか、船の問題なのか分かりません。)
とはいえ、スキッパーが角度を探るときにティラーを大きく動かしすぎ、船がふらふらしながら失速と加速を繰り返すとリーウェイしスピードもなくなります。この船がふらふらして乗りにくい感覚は、クルーのほうがよく分かると思います。こういうときは、ティラーを動かす幅を半分に、動かす回数を2倍に、と意識すると安定します。それでもふらつくなら、さらに半分&2倍に。
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“パワー”を基準に走っているときに、パワーが落ちたらどうしますか? ヘッダーで裏風が入ってパワーがおちたのなら、ティラーを引いてベアするのが正解です。ラルや波の谷間でパワーが落ちたのなら、(風向は変化していないのだから)ティラーはそのままで体重を中にいれるのが正解です。ラルでパワーが落ちたのにティラーを引いて対処してしまう癖があると、どんどん落ちていきます。風向が変わったのか、風速が変わったのか、つねにテルテールを視野の端に捉えつつ、顔にあたる風の強さも感じておくと判断できます。
470の基本的な考えかたは、その瞬間の風速にたいする適正スピードより速いなら角度をとる、遅いならスピードビルドする、だと思います。ラルに入った瞬間、風速は落ちますが、スピードはそれまでの惰性があるので風速に対する適正スピードより速い状態です。ここでは角度をとるべきです。いっぽうでブローに入った瞬間、風速があがりますが加速するには時間がかかるので、風速に対する適正スピードより遅い状態になります。ここでは見かけの風が後ろに回るのを利用して角度を取ろうとするより、角度をそのままにしてスピードビルドするほうが速いと思っています。
この考え方が一番大きな差になるのは、軽風で後ろからうねりがくるクローズです。うねりに押されると加速するので見かけの風向は前に回り、大きく裏風が入りパワーが抜けます。ここでは風速に対する適正スピードより速いので、裏風は気にせず、しっかりバランスをとり角度をとって走るべきです。波から置いていかれるとスピードが落ち、見かけの風は後ろに回ります。ヒールを潰してスピードをつける必要があります。波長によってはスピードビルドしたあとに、角度をとるためにラフできます。
ウェザーヘルムが強すぎて、風速があがった瞬間に船がラフしてしまうせいでフラフラすることもあります。こうなると高さもスピードもとれません。上りたいからってヒール気味にしたり、センターを前にしすぎると起こりがちです。
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角度を決める際の強い味方にして、初心者にはけっこう謎なテルテール。どう流したときが速いのか分からない、ちょっと上りすぎたり落としすぎたりしても流れ方が変化しない・・・。
トップセーラーにも、テルテールを見ないで走る人からほとんどテルテールだけを見て走っている人までいます。僕はテルテールをほとんど見ないで主にスピード感覚で走っていますが、結果として、風下のテルテールは水平にきれいに流れ、風上のテルテールは水平より10度ぐらい上がった状態で流れながらハラッ、ハラッと跳ねています。(フルパワー以下。オーバーパワーではテルテールをまともに見たことがないのでどう流れてるのか覚えてません。)
テルテールを見て走るトップセーラーに聞いたところ、上に書いたのとほぼ同じように流しているとのことです。
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