嗚呼、これぞ真のヒミツ艤装。
ウィルモットさんの船からのパクリです。おそらく、ビクターコバレンコ氏のアイデアでしょう。
人影まばらな時間帯とは言え、ワールド会場で船を横倒しにしたのが運の尽き。僕は見ちゃったよ~ん。運は尽きても金メダル、と。はい。
パクって改良は日本人の得意技と言われてますが、僕のほうが数段イケてるシステムに進化してます。
解説すると、ガスケットの前端です。
・ガスケットは二重になっています。
・そのあいだに、伸縮素材(ちょっと茶色くよごれた白いやつ)がサンドイッチされてます。
・ガスケット前縁は、一番上からセールリペアで止めてます。伸縮性が必要な中央部分はセールリペアでは切れるかシワになるかなので、切れ込みをいれて薄いゴム(黄色い四角いやつ)にしてあります。
なにがすごいかって、
↑クローズのときに、ガスケット、およびセンターケース内に水が一切流れ込みません。↓
白い部分にはかなりの伸縮性があるので、微風のセンター全下ろしから、2.5ピンダウンのセンター15センチあげまで、クローズのあいだは完全に水の浸入をシャットアウトします。
そして、リーチングでも,
これしか隙間があかないのです!
さらに、プレーニング時に水圧でガスケットが内側に折れ曲がるのを防ぐため、
ガスケットはかなりの幅で重なっていて、ガスケット後端には裏からガスケットを支持する板がついています。
ツイゲルのセンターケースは、一番後ろから排水しやすいように工夫されているので、その部分は板もないし、重なりもなくしてあります。
気になる効果のほどは、
・このシステムに変えたあと、初めて乗った瞬間、ボトムが「ヌルヌル」してるんじゃないかと思った。ホンマです。
・スターンから出てくる航跡が、一目で違いが分かるほどきれいになった。水面の細かいボコボコがなくなりました。
・クローズ中、センターケースの中はほぼ静水面。ゆっくり循環しているようです。
・ド強風のリーチング中も、センターケースから水が湧いてくることはなくなりました。
注意したいのは、これはセンターケース内の水を抜くシステムじゃないってことです。本当の水密構造にしない限り、水は入ってきます。そして最低でも、ガスケットにボトム側からかかる動的な水圧と、内側からかかる重力による水圧が等しくなる量でつりあいます。
こいつが防ぐのは、水の流れの進入です。
シャシーとエンジンむき出しの車に、流線型のボディをかぶせると空気抵抗が減るのと一緒です。ボディは空気の侵入を防ぐわけではないので、中に空気は入っています。でも空気の流れが、ごつごつしたシャシーやエンジンに当たらなくなるので、抵抗が減ります。
ちなみに、白い伸縮素材の正体はストッキングです。二重にして、シリコンで目を埋めてあります。
ここにゴムを使うと、ソッコー切れるか、ガスケットが折れるかです。滑りがいい素材じゃないとダメです。
センターボード上のすべての点は、ピボットを中心にして円運動しています。センターを降ろしきる時、センターボード前縁は、斜め上方向に動きます。滑りが悪いゴムだとこれに巻き込まれて、センターボードと一緒にセンターケースの中に入っていってしまいます。薄ければ切れ、厚ければガスケットを巻き込んで折り目をつける。
これに気づくまで苦労しました。
しかしね~。
微風では軽量化のためにライジャケすら脱いでコーチボートに預ける世界だからこその、異常な執念ですね。我ながらちょっとヲタ臭がします。ちょっとどころじゃね~か。
(海外では、強風でY旗があがったときだけ、ライジャケ着用義務になります。日本のライジャケ常時着用システムのほうが、まっとうだと思います。全員着てれば、ハンデないですし。誰か一人が脱ぐと、みんな脱ぎたくなるんだよな。)
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