19.スタート

混乱を避けるため必要に応じて、本部船とアウターを結んだ線を“スタートライン”

スタートを待って並んでいる艇団の列を“ウエイティングライン”と書きます。

たんにラインと書いてるときは、文脈からお願いします。

先にまとめ

 

 ひさしぶりの更新です。今回はスタートを書きたいと思います。

 去年の470ワールドでスタートに目覚め、ゴールドフリーとで毎回トップスタートした川田です。はい。それだけです。

 

 スタートの準備から、場所選び、ラインに入る、止まる、加速、そしてスタート後の競り合いまでを順番に書いていきます。

 その前に、スタートの目標と、いいスタート、ありがちな悪いスタートをまとめておきます。

 

 スタートの目標

・第一上マークを“毎回必ず”シングルでまわる。

・スタート1~2分後に、艇団の第一線で、行きたい方向に伸ばしている。

 

 スタートというのは文字通り、レースの始まりに過ぎません。第一線に残り、その後のレース展開とスピードで前に出ていくのが、ヨットレースというゲームです。「スタートでフリート内トップに立とう」という考えは、失敗の元です。

 

いいスタート

・自分の行きたいコースサイドに展開でき、第一線から出遅れる危険がなく、スタート後なるべく早くベストスピードで走れる場所からでる。

・みんなと同じタイミングで、スタートラインから20m以上、なるべく下がったところでウエイティングラインを形成する。

待ってるときは左右の船をよーく見て、相手の立場に立って考える。下の船と同じ行動をとり、必要最低限のスペースだけを確保し、左右の船と同じ高さにバウを揃え、まわりの船に安心感を与え、じっと息を潜めて時間が過ぎるのを待つ。

スタート信号20秒前には確実に走り出せる準備を整える。スペースが足りないならロッキングでひろげる(注:ルール違反です、見つからないように、ほどほどに)。

左右の船をよーく見つつ、自分のタイミングで予備加速。

ラインまでの距離を考えて、自分のタイミングでフル加速して左右の船をぶっちぎる、もしくは左右にあわせてフル加速しバウを揃えてでる。

フルスピードのクローズホールドで、スタート信号後1~2秒でスタートラインをきる。

加速~競り合いをつうじて、自分のスペースを守りきる。もともと不足気味ならピンチングでスペースを広げる。

スペースが確保できたら、すぐにベストスピードに切り替える。

 

よくあるスタート失敗

ピンエンドや混雑した場所から出る。スタート信号時点で、本部船より上にいる。

ウエイティグラインに早くつきすぎる。ウエイティグラインが形成されきってから、割り込もうとする。

スタートラインぎりぎりや、みんなが形成したウエイティグラインより高いところで待つ。

待っているときに欲張って、スペースを多めに確保しようとする。

左右の船より高い位置で待とうとしたり、上の船のスペースを奪おうとしたり、大声をあげるなど、周りの船を刺激する行動をとる。

スタート信号20秒前時点で、加速のためのスペースが足りない、または確実に走り出せる体勢がとれていない。

予備加速なしで、いきなりフル加速しようとする。

クローズより落として加速する。

自分のタイミングで走り出せず、左右の船より遅れてしまう。

加速開始時点で、ラインまでのだいたいの距離が掴めていない。距離がないのに、左右の船をぶち抜こうとしてリコール。

リコールを読まれるのが怖くて、左右の船より少し低めでスタートしようとする。

スタートラインをスタート信号と同時に、ジャストできろうとする。

フルスピードになっていない状態でスタートラインをきる。

スタート後の競り合いでスペースが足りずに走れなくなる。

 

 スタートのハンドリング自体は、コツさえ掴めばいたって簡単。止まって、体勢を整えて、ゆっくり走り出して、一気に加速。

 スタートを失敗する最大の原因は、「他の船より少しでも多くスペースを確保したり、高い位置で待ちたい」「スタート前にまわりの船を潰そう」「自分一人でみんなより前でジャストスタートしよう」「まわりより少し下がって助走距離をつけよう」、そういう相手の立場に立てない、自分だけ得をしようという心です。スタートで「自分だけまわりと少し違うことをやって、得しよう」は禁物です。まわりもみんな、自分と同じような考えで行動するので、かえって自分を追い詰めることになります。相手の立場になって、羊の皮をかぶったまま周囲の心理と動きを操作し、最後の10秒間で牙をむけばあっさりぶち抜けます。

 

スタートの準備

 

 とくに目新しいことはないので、さらっとまとめておきます。大事なのは、これを“毎回必ず”やることです。

 

・スピンをあげてみる。

リーチングで走って、トッピングの高さを合わせる。トッピングダウンが効きすぎてポールがつけにくくないようにする。

スピンをポート側にきれいにしまう。

ツイカー、スピンシートを整理し、水につからないようにする。

コントロールロープを片方で引ききってしまわないように直しておく。

水を一滴も残らないように抜き、ベーラーを閉じる。

風を見て伸ばしたい方向を決める。

 レース海面についてから入念にスピードチェックをやってるのを見かけますが、セッティングに致命的なミスがないかを確認するぐらいにしておくべきです。レース当日にスピードを改善しようとしたり、スピードについて悩むのは、典型的なレース失敗パターンです。自分がその日だせるスピードを受け入れて、レース展開で勝つことに専念し、そのための準備をすべきです。

 レース海面についたらすぐに海面全体を走ってみて、スタート直前も30秒毎に一回は海面全体を見渡したいです。

 

潮をはかる。

 飲み物が入ったペットボトルのように、重くて水中に深く沈む部分が多いもののが風の影響を受けずに測れます。

 

スタートラインの傾きを見る。

 スタートラインの傾きによってスタート時点でどれぐらいの差がつくか、下の船が邪魔で走れないほど下有利か、もしくは上の船に上突破されるほど上有利か考えます。運営がきちっとしていれば、傾きはほとんど考えなくていい程度のはずですが、残念ながら・・・

 

・ジャスト、1艇身安全、2艇身安全見通しをとる。

 本部船付近で、オレンジ旗ぴったり、そこから1艇身下がったところ、2艇身下がった見通しをとります。スタートライン中央付近で、2艇身安全見通しがアウターと重なって見えていれば、スタートラインから1艇身下がっていることになります。

 

・何回か加速練習をして、フルスピードになるために必要な距離と時間をつかむ。

  

場所選び

 

 スタートライン上の、どこから出るかを選ぶうえで考えることは、

・まずはラインに入る

 本部船の上側で列を作って待つのは、愚行です。あそこで待ってる人たちは、スタートする気が本当にあるんですかね? スタートライン上にスペースはいっぱいあるのに、なんでラインの外で団子になって、3列目4列目スタートをぼんやり待っているのか、理解に苦しみます。

 

・艇団がスタートライン上にどう広がるか?

 たいていの場合、有利エンドに集中します。レベルが低いほど、集中度が増します。

 団子状態になる場所を避けるのはもちろんですが、艇団から一艇だけ遠くに離れてスタートするのもたいてい失敗します。艇団からつかず離れずがいいと思います。

 

・危険な場所は避ける。

 ハンドリングがどんなにうまくても、船の左右にある程度のスペースがなければ操船は不可能です。混雑しすぎて、そこに集まった艇数に対して物理的にスペースが足りないような場所は、どんなにうまい選手でもにっちもさっちもいかなくなる可能性があるので避けるべきです。

 ピンエンドは混雑しているうえ、本部船の上、アウターの下に追いやられてしまう可能性があります。自分がピンエンドからのスタートがいくら得意でも、レベルの高いレースでは同じような選手が他にも何人もいる、ということを忘れちゃいけません。エンドスタートを決めなきゃ上位をとれないとか、エンドスタートを決めればトップをとれるということもないですし、冷静に考えればたいした利点はないわりに、リスクがでかいです。

 本当にうまい人たちが集まったレースで、エンドスタートを毎回決めるのは至難のわざで、そういうレベルの高いレースでエンドスタートを回避する戦い方をするなら、たとえエンドスタートを簡単に決められる練習レースでも、本番と同じスタイルを貫くべきだと思います。

 

自分の行きたい方向に伸ばせる

 左海面に行きたいなら、第一線で走りやすい場所のうちで、なるべく左寄りを選びます。上有利のスタートラインなら上に集まった艇団の左、下有利のスタートラインならアウターの団子集団から少し距離を置いてなるべく左。

 右海面に行きたいなら、スタート後の早い時期に(即タックする必要はありません)、艇団の後ろをくぐらずにタックできる場所を選びます。上有利のスタートラインなら本部船の団子集団のすぐ左、下有利のスタートラインなら艇団の右。

 

・有利エンド?

 もし行きたい方向が決まっていないなら、とりあえず有利エンドよりの出やすい場所から出ます。というのも、艇団は有利エンドに固まるので、コースが読めていないなら艇団の近くにいたほうが安全だからです。

 風が左右に振っていて、スタートラインが風軸にたいして直角にうたれている場合、有利エンドから出ると、最初の振れは逆振れになってしまいます。たとえばスタートラインが下有利だとすると、次は右に振るってことなので、アウターからでるのは不利です。

 極端にラインが傾いていて、スタートした瞬間に勝負が決まっているような事態は、レベルの高いレースではありえません。そういうのはヨットレースとは呼べません。スタート直前に大きく風が振ったら、APが揚がります。が、学生のレースとかだと運営のレベルが残念な感じで、ご愁傷様としか言いようがないです。みんなでいいレースを作っていくしかないですね。

 注意しなきゃいけないのは、陸風などで降りてきたブロー+振れが、スタート信号の時点でスタートラインの一部に到達し、残りには入らないことです。そうすると、ブローが入ったところからでた船が一気に伸びて、残りは置き去りにされてしまいます。定期的に風をチェックし続けることと、スタートラインの傾きではなく、最初に入る風を考えてそれを取りにいける場所を選んで並んでいれば、置き去りは防げます。

 

ウエイティングラインを形成する

 

 出たい場所が決まったら、ウエイティングラインを作ります。積極的にウエイティングラインをコントロールしましょう。

 

 ウエイティングラインは、典型的には、1分40秒前ぐらいから作られ始め、50秒前には完成します。1分30秒前~1分10秒前ぐらいの、比較的早めにラインにつけるのがいいと思います。この時間であれば、ラインの形成され始めなので、自分の意志でラインの高さを誘導できるし、万一場所を変えたくなっても修正が効きます。

 

 ウエイティングラインを作る高さは、低く低く低くです。ビッグフリートの場合、微風でもスタートラインまで20メートルはあけたいです。強風なら30メートルあけたいです。ウエイティングラインは待ってる間にじわじわ上がっていってしまうものなので、上がってなお、加速のために十分な距離がスタートラインまで残るように、並び始めるときはとにかく低~くです。後ろから潮が来ているなら、超低くです。

 ちゃんとスタートの仕方が分かっていて、スタートラインまでの距離を把握できる選手が、早いうちに低めに並んで、問答無用でラインを低く作ってしまうのがいいと思います。

 訳の分かってない初心者が、一艇だけラインの近くにビタ付けする場合があります。オリンピックウィークのときそういう選手がいて、ラインがあがってきれいにスタートできなかったんですが、ウィルモットがブチ切れてスタート放棄してわめいてました。それぐらいウザいです。

 前にも書きましたが、一艇だけ高い位置で待っても、加速開始の時間までにはまわりの船は同じ高さまであがってきてしまいます。高い位置で待っていても、低い位置で並んでいても、自分が良いスタートをきれる確率は変わりません。

 それにも関わらず、そうい下手な選手がいると、周囲のウエイティングラインの高さが上がるせいで、その場の選手全員に、加速のための距離が取れずフルスピードででれない、リコールの可能性が高まるというリスクがふりかかります。場合によってはウエイティングライン全体が上がって、ゼネリコを延々繰り返す、そのまま最終スタート時刻がきてレースできない、誰かがブラックフラッグに引っかかってしまうということになります。

 本人を含めて誰にも利益をがないのに、全員にとって迷惑な行動をする選手は、「ライン上げんなよ、邪魔だどけ」ぐらい怒鳴りつけてやってもいいと思います。

 

 比較的早めの空いているうちにウエイティングラインに入り、そのときに必ずスタートラインまでの距離を把握しておきましょう。まわりに船が並んでしまったあとでは、左右の船が邪魔でラインまでの距離が分かりません。ここでの距離感が、最後の加速勝負でモノを言います。

 

 みんなが並んで待っているのに、自分だけさらに低い位置で待つ、というのは必ず失敗します。たとえ高すぎる位置にウエイティグラインが形成されていると感じても、いったんラインができちゃったらそこに並ぶしかありません。ラインを作るときに、なるべく低く低く誘導しましょう。

 

 ラインに並んでいる船の間にあとから割り込むのを多用する選手がいます。割り込み防止は下で説明しますが、レベルの高いレースではみんなこれを使ってくるので、完全にウエイティングラインが形成されたあとに割り込もうと思っても割り込む場所がないです。本当に、長いスタートラインの端から端まで、一列に等間隔で全艇が並びます。無理に入ればプロテスト沙汰のあげく、周りの数艇を巻き込んで加速できなくなり終了です。

 そういったレベルのレースでなくとも、割り込むと周辺のウエイティングラインが上がるし、割り込んだほうもスタートラインまでの距離が分からないなど欠点が多いので、割り込みはあくまで非常手段、第一の選択肢にすべきではないと思います。

 

 例外的に、かなり下有利なスタートラインでは、ウエイティングラインは高めに作ります。クローズで加速するときに、スタートラインとほぼ平行に走ることになるので、スタートラインまでの間隔が短くても、十分な加速距離が取れるからです。

 また、下有利なラインでは、周りより少しでも低くなったら前の船のブランケで走れなくなります。なので高めで待っていても、スタート直前に風下から突き上げてこられることはありません。

 一方でウエイティングラインがスタートラインぎりぎりに作られるので、人より高く待ったらリコールの危険があります。

 スタートラインぎりぎりの、幅のせまい空間に、全艇が前後に一直線にならぶので、いったんウエイティングラインが形成されたら調節、やり直し、割り込みが困難でスペースも不足気味です。極端な下有利なときだけは早めに、高めに並びましょう。

 

 ウエイティングラインに入るときは、誰か止まっている人のすぐ上に入ります。ただし速い選手の上は避けます。特に下手そうな人の上につけるとスタートが楽になります。自分がスタートしたい場所周辺で下手そうな選手を探して、そのすぐ上につけます。スタートでターゲットにされる下手そうな選手を、マシュマロと言います。マシュマロを探せってことです。

 自分がいち早くウエイティングラインにつけたときは、自分の下に入る船に注意しておきます。もし速い選手が自分の下に入ってきたら、空いているうちにダブルタックして距離を置き、誰かにあいだに入ってもらいます。そして手ごろな選手が入ってきたらその船に寄せて、それ以上誰かが入ってこないようにします。

 まだラインが空いているのに、止まっている他の船のすぐ下に入ろうとする選手がいますが、大間違いです。いきなり上の船と争いが起きてラインがあがっちゃうし、自分の風下に広大なスペースを残しておくのは速い選手に割り込んでくれと言ってるようなもんです。

 

 すでに止まっている船の近くに入るときは、なるべく危機感を与えないように注意します。間隔をあけて止まっている2艇の間に入るときは、下の船にくっつくように入ります。

 下の船と自分の間に、自分が必要とする最低限のスペースをとり、上の船のスペースを奪わないよう上の船とはなるべく離れてそっと入り、左右の船よりバウを出さないように、ゆっくりと進んでバウを揃えます。

 

止め方

 

 まずは止めるためのハンドリングから。大事なのは3つ。

・基本的に、受ける風圧を最小限に、横流れを止める水の抵抗を最大にしてじっと待つ。

・操船不能に陥らないよう気をつける。

・たまにロッキングやS字を使う。

 

 強風ではクローズでセンターをあげるし、軽風でもヘルムをコントロールするために少し上げたりしますが、スタートを待つあいだは完全に降ろし、最大限前に振ります。センターが後ろに振れたまま止まるとバウが風下に向いていくので、どんどん前に出ていく&横流れします。

 メインのリーチが突っ張っていると風がはらんで横流れするので、バングは抜きます。ただしラフするためにブームを引き込んだときにリーチがついてきてくれるように、完全にゆるゆるにはせず、当てる程度に引いておきます。

 メインは完全にシバーさせます。興奮するとシートを引き込む癖がある人がいますが、無意味にメインを引き込んだら横流れするだけです。

 ジブはバタバタいう直前まで出し、ふんわりと潰します。風がはらんだら当然ダメですが、完全にシバーしてバタバタバタバタとなっている状態も、風の力をかなり受けてしまい横流れします。

 船はぴったりフラットにします。アンヒールするとブームが自分の重さで落ちてきてメインセールがはらむので、厳禁。

 ラダーは可能な限りまっすぐにします。

 バウは風位から30度ぐらい下。ベアしすぎると横流れしたりどんどん前に出て行ってしまいます。ラフしすぎると向きを変えたいときにセールがはらまず操船不能になり、バックしちゃったりします。

 クルーが軽くジブを当ててベアしたり、スキッパーが軽くメインを引いてラフしたりを細かくやって、大きな乱れがないようにこの状態を維持します。操船不能&バックの一歩手前で、クルーのジブの微妙な調整で持ちこたえている状態が一番いいです。

 ごちゃごちゃとセールを引いてみたりティラーを押してみたり、中途半端な動きを多用する船に限って、セールに無駄な風圧を受けたり、ラダーの側面積を失ったりで横流れします。普段は静かに止まっておいて、やるとなったらがっつりロッキング、メリハリが必要です。

 

 その場で素早くベアするにはジブを右に引いて、ラダーをガンガン引いて鬼スカリングします。クルーがジブシートを直接持って、逆ジブを使いこなすのが大事です。風にほぼ立った状態で普通にポート側のジブシートを引くと、左から右に風を受けてラフしてしまいます。

 

 下の船とのあいだのスペースが足りなければ、漕いでひろげるしかありません。完全にくっつくと操船するスペースがなくておしまいなので、危ないなと思ったら早めに対処することが大事です。

 微風では、セールを出したまま、その場で船を思いっきり揺らすだけでオッケーです。普通のロッキングとは考え方が違います。ヒールさせるときにはスキッパーの体がブームを押すのでメインは風下からはらみますが、アンヒールさせるときにはメインはシバーするので風圧を受けず、これを繰り返すと船は上にずれていきます。二人で息を合わせ、思いっきり、速く、大きく揺らすことが大事です。

 オンデッキ以上の風があったら上のロッキングは使えないので、一旦クローズまでベアしスピードをつけてから大きくヒールさせ、このヒールを一気にアンヒールするまで潰してセールをあおりながら風位を少し越えるぐらいラフします。そのまま風上に向けて進み、スピードがなくなる直前に風位から30度下までベアして止まります。航跡の形から、“S字”とか呼ばれます。必要ならS字を繰り返します。

 どっちも42条違反ですから、ジュリーボートには気をつけてください。あと周りの船にマストをぶつけないように。

 

スペースの守り方

 

 ラインに並んでから、スタート約20秒前まで、スペースを守りながら加速開始を待つ時間です。 

 スペースを守るというと、自分の風下のスペースだけを考えがちですが、守るべきスペースはもう一つあります。スタートラインまでの距離、加速スペースです。

 では守り方をみていきます。

 

 まず、ラインに並んだら、スタートするまで左右の船の動き、とくにその乗員の動きを監視し続ける必要があります。これはスキッパーがやったほうがいいです。

 同時にクルーは後ろを見て、割り込んでくる船を警戒します。

 

 

 自分の風下のスペースを守るポイントは2つ。

 一つ目は自分が走るために必要最低限のスペースだけをあけること。もし下の船が流れて勝手にスペースが開いていくなら、自分もそっと横流れさせてスペースを潰します。絶対に欲張っちゃダメです。

 一艇が走るのにやっとなスペースしかなければ、そこに割り込んだ船はスペースがなくて走ることができないので、割り込もうとする船はいません。必要以上のスペースを開けておくと、ガンガン割り込まれます。割り込まれそうになってからベアして一気にスペースを狭めようとすると、スピードがついて前にでてしまうし、ベアによって風下にオーバーラップされると規則15で保護されないのでプロテスト沙汰になります。

 またスペースが開いていると、下で待っている船がダブルタックしてスペースを奪いにきます。下の船がタックしてポートになった場合、こっちはベアしてポートスターボをかけたいところですが、こっちの動きは規則16で制限されます。下の船は2回目のタックをするまでにスピードをつける必要があり、このためのスペースを与えなければいけません。よってダブルタックをされた場合、こっちのスペースはほとんど全部奪われちゃいます。下の船がダブルタックできるほどのスペースは絶対あけてはいけません。

 

 二つ目は、下の船の動きを真似し続けること。

 下の船が流れた場合、自分も流れて、スペースを一定に保つのは上に書いたとおりです。

 逆に下の船がロッキングを使ってスペースを奪いにきた場合も、自分も同時にロッキングして同じように上の船のスペースを奪い、下の船との間隔を保ちます。ロッキングするには、マストがぶつからないだけのスペースが必要なので、下の船とくっついてからではなすすべありません。

 S字をする場合、まず始めにベアしてスピードをつける必要があるので、下の船が急にベアして前に出始めたら、自分も同時にベアし同時にS字をかきます。もし反応が遅れて、下の船にスペースを奪われちゃったら、もう自分にはベアしてスピードをつける余地が残っていないので、そのまま下の船にくっつくしかなくなります。

 下の船の動きを、乗員の視線や動きで早めに察知することが大事です。

 

 レベルの低いレースでは、スペースがぎりぎりのところに、無理やり割り込んでくる船がいます。とにかく怒鳴って防ぐしかないです。一艇分ぎりぎりのスペースしかあけていなければ、そこからさらにベアして防ぐことは自殺行為です。微風ならブームを一瞬押して、スペースをブームでふさぐ、という手もあります。

 ぎりぎりでの割り込みは、割り込んだ瞬間に下の船から風上風下、上の船から規則15でプロテストできます。ルールも守れない、迷惑な下手糞がいたら、まわりが必ずプロテストをだして失格にし、やっていいことと悪いことを教えるべきです。みんなにとって公正で楽しいレースを作るために、必要なことだと思います。

 とは言っても、大事なレースではたとえ相手を失格にしても取り返しのつかないようなリスクは避けるべきです。混雑したところやエンド付近では、スタート直前に行き場を失った船がうようよしているので、割り込まれるリスクが高まります。

 

 

 では、スタートラインまでの距離、加速スペースを守るにはどうしたらいいでしょうか?

 まず、まわりより高い位置で待つ=有利という考えを捨てることです。上にも書きましたが、まわりよりバウを出したところで、まわりだって負けたくないので必ず同じ高さまで上がってきます。結果的に、誰にもなんの得もないのに加速スペースを浪費することになります。

 左右の船をよーくみて、必要なとき以外左右の船よりバウを前に出さず、できるなら危険がない範囲で、ほんの少し(20センチとか)だけバウを低く保ち、左右の船に安心感を与え、ラインの上げあいを防ぐようにします。

 「まわりより高い位置で待ちたい」という考えは捨てたとして、それでも前に出なきゃいけないときはいつでしょうか? 自分の風下のスペースが足りないときです。このときばかりはロッキングなりS字なりで、前にでながらスペースを広げるしかありません。

 ですからラインの上げあいを防ぐためには、上の船が危機感を抱いてそういった行動にでないように、上の船が走れるだけのスペースを与えてあげることが大切です。

 もちろん、自分が下の船とくっつきそうなら、上の船のスペースを奪うしかありませんが。

 

 とにかく下の船とのあいだに一定の間隔をキープして流すにしろ、上の船にスペースを与えるにしろ、下の船が下手でおとなしい船だとものすごい楽です。マシュマロは大切に。

 止めるのがうまかったり、攻撃的にこっちのスペースを奪いにくる選手が下につくと、こっちも攻撃的にならざるを得ず、結果的にラインの上げあいを防ぐのが難しくなります。

 

 

 ところで、左右の船よりかなり下がって待って、加速のためのスペースを残そうとする人をたまに見かけますが、超危険です。ほとんどの場合、左右の船のブランケに入れられたり、スタート直前にスペースを奪われたりで失敗します。なんであれ、自分だけ得をしようというのは大抵うまくいきません。

 

 止まって待っているあいだに、ウエイティングラインは徐々に上がってきてしまいます。

 最初にウエイティングラインにつける時に確認した位置から、どれぐらいラインが上がったか、スタートラインまでどれぐらい距離が残っているか、スキッパーの感覚で把握しておきます。

 見えるなら、クルーが安全見通しや、本部船とアウターとの位置関係を見て、スタートラインまでの距離をできるだけ正確に把握し続けます。

 スタートラインまでどれだけ残っているか、正確に把握しておくこどが大事です。

 

加速準備

 

 スタート20~30秒前には、走り出せる準備を整えます。これを早めにやっておくことが、操船不能、加速不能で置き去りにされる危険を減らします。

 

・必要なら右の逆ジブとスカリングを使って、クローズの角度までベアし、セールを引き込めば即座に加速できる状態にします。(ベアするためのスカリングは違反ではありません。ただし、左に逆ジブしながらベアする方向にスカリング、スカリングで一回ベアしたあとにラフ方向に漕ぐのは、ジュリーが一番目を光らせている違反なので、やってはいけません)

・最大前振りにしていたセンターを、クローズの位置まであげます。

・マーキングに合わせてカニンガムを引きます。

・左右のジブシート、メインシートの余分なたるみをとって、シートを引けば即座にセールがはらむようにします。

バングはまだ引きません。

 

 ここで、今まで下の船との間隔を一定に保つように流していたのをやめて、自分の風下のスペースがなるべく広がるようにします。

 ただし自分の下に十分なスペースがあるなら、上の船のスペースには手をつけないようにします。上の船には、最後の瞬間まで穏やかな心で過ごしてもらうことが肝要です。下手に追い詰めたらかえって自分の首を絞めることになるので、攻撃するそぶりも見せないようにします。まだ前にバウを出しちゃだめです。

 もしこの時点で風下にスペースが足りなければ、ためらわずロッキング、S字でひろげます。下の船に合わせて横流れした結果、上の船との間に広大なスペースができていたら、ダブルタックもありです。自分の風下のスペースにむけてベアし、しっかりスピードをつけてからダブルタックします。このダブルタックを失敗して止まっちゃったりすると、加速できずに置き去りになるので気をつけてください。

  

予備加速→フル加速

 

 スタート15秒前を過ぎたら、加速の時間です。ここからは牙をむいてかかってください。ここで好き勝手に暴れるために、今まで我慢してラインを低く低く保ってきたんですから。

 

 強風ならマーキングにあわせてバングを引きます。

 クルーがトラピーズに乗る風では、リングをかけ、すぐにトラピーズに出れる体勢をとります。このときクルーが外に出た分、スキッパーは立ち上がってバランスをフラットに保ちます。

 

 ここからはスキッパーは絶対に左右の船から目を放さないようにします。クルーは、スキッパーにラインまでの距離を伝えます。

 

 スタートラインまでの距離を把握し、自分のタイミングで予備加速します。ラインまでの距離が十分な場合、微風なら12秒前、強風なら8秒前。ラインまでの距離がぎりぎりでも、まわりの船が加速するタイミングよりは2~3秒早く予備加速します。ここはまわりより早くやることが絶対です。あくまで予備加速なので、早めにやっても飛び出してリコールしたりはしないはずです。

 微風ならクローズよりほんのわずかに落とした角度で、ラダーが確実に効く速度まで加速。強風ならクローズの角度で、スキッパーが立ったままクルーがデッキの上にしゃがめるぐらいのセールパワーを入れゆっくりと走ります。ジブとメイン両方に、ふわっとパワーを入れてゆっくり走り、まわりよりほんの少しバウを出していくだけです。

 予備加速の恩恵は、いきなりフル加速するよりスムーズに加速でき加速のタイミングを掴みやすい、セールをフルに引き込んだときにすでにスピードがあるので横流れが少ない、最後の瞬間にバウを出すことで見通しなどを確認してラインまでの距離をつかめる、左右の船の加速のタイミングを見てからそれに合わせるための余裕が生まれるなど、計り知れません。

 

 

 そして、ラインまでの距離が十分なら、そのまま左右の船を気にせず自分のタイミングでフル加速してぶっちぎります。

 ラインまでの距離が少なくリーコールの危険があるなら、左右の船が加速を開始する空気(乗員ががさがさ動く気配)を感じた0.2秒後ぐらいにフル加速します。これでほぼぴったりバウが揃い、リコールは読まれないはずです。

 

 フル加速は、微風なら大きなロールを一回してそのままクローズで走ります。

 トラピーズに乗るような風なら、フラットなまま、0.5秒ぐらいで、クルーがトラピーズにでながらジブを引ききり、スキッパーはハイクアウトにでながら頭の上までメインを引ききります。ここを、まわりの誰も反応できないぐらいの速さで一瞬でやることが、加速勝負で毎回勝つためのポイントです。

 

 フル加速すると決めたら、あとはわき目も振らずに完全に加速に集中します。ラインまでの距離も、左右の船との関係も、かけらも考える必要はありません。

 

 フル加速はクローズでやります。ベアしちゃだめです。加速のために使うスペースはウエイティングラインからスタートラインまでの距離で、風下の船とのあいだのスペースはスタート後にクローズを走るために使うスペースです。 

 

 もしも予備加速開始の時点でまだ風下に必要なスペースが確保できていなかったら、ここでひろげます。

 微風なら、スタート20秒前ぐらいから、セール出したままのロッキングを一回、二回、そして三回目ヒールさせながらメインとジブを引き込みそのヒールを潰して加速、ロッキングが終わると同時にきんきんにメインのリーチを詰めてピンチングのクローズでスタート。

 風があるなら予備加速がわりにS字をやって、きんきんにメインのリーチを詰めてピンチングでフル加速。ただしS字は一回にかかる時間が長いので、タイミングを外さないように。

 

 ここで、フル加速には2通り、“左右の船をぶっちぎるか、バウを並べるか”しか選択肢にないことを注意してください。そしてその選択肢を選ぶ基準は“スタートラインまでの距離が十分か、リコールの危険があるか”これだけです。

 ラインをジャストに切ろうとか、見通しぴったりにでようという気はさらさらないです。通常は他の船に隠れて見通しは見えないし、ピンエンドじゃない限りラインまでの正確な距離は分かりません。さらにジャストで切ろうとすると、ちょっとタイミングが狂ったり、一波叩かれるかどうかで、30センチリコールしちゃうことになります。こんな微妙な差は制御不能なので、ジャストスタートを狙ってはいけません。

 理想のスタートは、スタート信号後1~2秒で、スタートラインをマジなフルスピードできることです。この1~2秒の余裕があるからこそ、ためらわずにフル加速できます。ジャストスタートを狙って、リコールしそうでぎりぎりで減速したり一回ベアする、これをやったらスタート直後に左右からぶち抜かれます。

 

 リコールを読まれないように左右の船の陰に隠れることは、非常に重要なテクニックです。このためには、左右の船とぴったり高さを揃えれば十分です。

 真横からリコールを読んでいるんですから、左右の船より下がる必要はまったくありません。下がろうとすると確実にぶち抜かれます。

 左右の船とバウを揃えるために、同時に加速を開始しようとするのも間違いです。左右の船がシートを引く音を聞いてからこっちもシートを引いたんじゃあ、絶対に同時には引けません。音が空気を伝わって、耳から脳に、脳で処理して手先に伝わってから手が動くんですから、必ず遅れます。

 そのために予備加速で先にゆっくりバウを出しておいて、左右の加速の雰囲気を確認してからそれに合わせてフル加速してもぴったり並べるだけの余裕を作っておく必要があります。

   

スタート後の競り合い

 

 走り比べではさほどスピード差はないのに、スタート直後の競り合いになるとついていけない。その原因は、スタート後にピンチングする習慣がないからだと思います。

 

 風下に必要なスペースを確保してスタートしても、スタート直後は軽くメインのリーチを詰めて、ピンチングしたほうがいいと思います。なぜかというと、自分の下の船が思いっきりピンチングしてきて、自分のスペースを奪いにくるかもしれないからです。それがないことを確認してから、もしくは下の船が脱落して十分なスペースが得られたら、ベストスピードで走ればいいです。

 

 もし必要なスペースがなかったり、下の船がピンチングしてスペースを奪いにきたら、加速の段階からキンキンにメインのリーチを詰めて、とにかくスペースが安全に確保されるまでピンチングします。ピンチングで加速して、ピンチングしたままポートのレイラインまで走りきって、ワンタックというのも有り得る展開です。

 

 ここで注意しなきゃいけないのは、ピンチングの目的は自分の風下のスペースを確保することで、上の船を潰すことじゃないってことです。スペースが確保できたら、すぐにベストスピードで走りましょう。

 無意味に、もしくは自分の風下のスペースを確保するためやむなく上の船を潰すと、自分の二つ上の船に大きなスペースを与えることになってしまいます。強風でこの状態になると、二つ上の船がすぐにベストスピードやドライブモードで走り出して即座に上突破されます。できることなら自分がベストスピードで走れるようになるまで、上の船は生かさず殺さず、さらに上の船を防ぐ役目をしてもらいましょう。

 

 右海面に行きたい場合、どこまでスターボの競り合いに付き合って、どこでタックするかが明暗を分けます。

 あまりに早くタックすると、多くのスターボ艇の後ろをくぐらなくてはいけなくなります。くぐっている途中で何艇かが目の前でタックしたりすると、完全に第一線から脱落してしまいます。

 しかしスターボでの競り合いに夢中になり、自分のスピードに良い気分になっていると、気づいたら脱落してタックしていった船が右海面ではるか先を行っている、ということになります。

 スタート後しばらくして第一線の船がまばらになってきて、数艇の後ろを通れば右海面に行けそうになったタイミングでタックするのがいいと思います。

    

それでもスタート失敗

 

 よくあるトラブルをまとめます。

 

・下手なやつが多すぎて、ウエイティングラインが上がりまくり。

 どんなにウエイティングラインが上がっても、2列目スタートは絶対に避けなければいけません。エンド付近や混雑したところはウエイティングラインがとくに突出してあがり、その場にいた全員がまとめてリコールを読まれる危険性があるので、そういった場所は最初から避けます。

 下手な船が大多数を占める場合は、普段と違って、上手な船の近くから出るほうが無駄なライン上げ競争やルール違反に巻き込まれる危険が少ないです。速い人の一つ上なら、誰も間に入ってこないので狙い目です。ただし上手い人の中にも、リコール癖がある人がいるので、そういう人は逆に近寄らないようにします。

 予備加速は絶対必要です。普段より少し遅めに、でも左右の船の加速開始よりは確実に先に、ごくゆっくり進みだします。

 左右の船の雰囲気やシートを引く音で加速具合を推測しつつ、ワンテンポ~数テンポ遅れてフル加速し、バウを揃えます。左右の船がへなへな加速でも、自分は加速を決めたらあとはフル加速したほうがいいと思います。

 突出部さえ避ければ、一艇で思いっきり飛び出さない限り、リコールを読まれる確率は非常に低いです。凹んでるところまでリコールになるほどウエイティングラインが上がっているなら、まず間違いなくゼネリコです。

 

・ブラックフラッグ揚がってるのに、ライン高いよ・・・

 勘弁して欲しいですね、ライン上げてる奴。そんなにそこにいたいなら、そのままそこで沈没しちゃいなよ、と。水面より下でやってくれ。

 こういう場合も、上と一緒です。二列目スタートは絶対回避。

 もしもウエイティングラインの有利エンドが繰り返し突出してゼネリコになるなら、そこは避けます。艇団がスタートライン上に散らばっているのに、全体的にラインが高いなら、普通は中央がへこむし読まれにくいので、中央から出ます。ただし後ろから潮が来る場合、ライン中央が膨らむことがあります。

 

・みんなで下がって待ってるのに、空気読めない奴が一艇、スタートラインぎりぎりで待ってるよ・・・。え? なんで俺の前に来るわけ!?

 手ごわいです。僕はよく殺られてました。何故か来るの分かるんですよね、あ、あれ絶対来るよ、来るぞ、ああやっぱ来た~、みたいな。

 まずは早いうちにまわりのみんなと一緒に、怒鳴ったり笑顔で頼んだりしてどっかに行ってもらいましょう。みんなも邪魔だと思ってるはずなんで、共同戦線張れると思います。そういう行動する人は訳分かってない人だし、とくに理由もなくその場所にいるだけなんで、ギャンギャン怒鳴ればちょっとズレてくれるはずです。

 「このまま俺が風下にオーバーラップしたら風下艇だからな!突き上げてリコールさせるぞ!」的な脅しをよーくかけときましょう。

 いくら怒鳴ってもスタート20秒前までに安全な距離まで去らないと判断したら、なるべく早い段階で前にでて、できるならその船の上に並び直したらいいと思います。目の前にいるなら、前にでてそいつの下に入るフリをすれば、たぶん防ごうとしてベアしてくれるんで、上に並べるんじゃあないかと。

 上に入るのが無理なら、その船の下に並び直しましょう。そのかわり自分の下にも後ろから船が入ってくるんで、警戒しとかないと。

 とにかくスタートラインぎりぎりに誰かいる限り、最終的にウエイティングラインをそこまで上げる以外に道はないです。ですがみんな最低限の間隔で並んでいるところに一艇余計なのが現れたんですから、誰かがはじかれることになります。それが自分にならないよう、早めに前にでて並びなおすしかないと思います。

 

・結局第一線スタートできなかったよ

 まずはスタート失敗しそうな雰囲気をなるべく早く察知して、早めに手を考えます。なにがなんでも早めにクリアエアが欲しいです。

 全艇がきれいにラインに並んでいる場合やアウターエンドに集中している場合、とにかく早めにタックを返し、最大限右にむけて走っておくといいと思います。あきらめたのなら中途半端についていかず、できることならスタート信号前にバックしたり加速しないで止まったまま周りの船をやりすごし、さっさとタックするべきです。逃げ足の速さも実力のうちです。

 本部船側に艇団が集中している場合、右にむけて逃げても、本部船の上や後ろから出遅れた船が次々にでてきてその後ろをくぐらなければならず、くぐっている間に前でタックされる可能性が高いです。とりあえずスターボのままがんばってみて、なるべく多くの船がタックするのを待ってから返すのもありです。

 

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