18.抵抗1〜摩擦抵抗、形状抵抗〜

抵抗について

 

 抵抗に関する知識は、スピードがでる走り方を考えるためだけでなく、コースを考えるためにも役に立ちます。

 つっても生物化学系、しかも数学大嫌いの僕には、流体力学とかぜーんぜん意味不明なんだよ。で、今回の内容はすべて人から聞いた話をそのまんま書いてるだけで、根拠となる理屈は理解してません。誰か物理系の人、教えてよ。

 抵抗には摩擦抵抗とか形状抵抗とか造波抵抗があるらしいです。慣性抵抗とか粘性抵抗とか、???ですね。

 ちなみに微風では全抵抗=推進力は5kgf、強風でも25kgf程度だそうです。(*1) ようは470には片腕の力ぐらいの推進力しかないってことです。繊細な乗り物ですね。

 

摩擦抵抗

 

 摩擦抵抗ってのは、要はアレです。詳しくはテキトーに調べてください。

 微風では全抵抗のほとんどを摩擦抵抗が占めます。フルトラぐらいでも全抵抗の3分の1は摩擦抵抗です。(*1)

 摩擦抵抗を減らすためにできることは、接水面積を減らすことと、接水面の表面を改善することです。具体的に見ていきましょう。

 

軽量化

 

 接水面積を減らすためにできることの一つ目は、帆走重量(船+体重)を軽くして、船の沈みを少なくすることです。

 水は一滴残らずスポンジで拭く、余計なものはシート一本でも積まない、水を吸わないシートを使う、水を吸う素材や重い素材の服は避ける、そして適正体重以上の人はダイエット。軽くすると加速もよくなるので、ロールタック後にも有利です。

 

バランストリム

 

 接水面積を減らすためにできることの二つ目は、乗員が乗る位置を変えて、接水面積が少なくなるようにバランスをトリムすることです。水中部分の三次元形状が、平らで浅いより、細くて深いほうが接水面積が減ります。470の場合は、平らなスターンがベタっと水に接しているのがよろしくないみたいです。

 微風のクローズでは5~10度ヒールさせ、クルーはサイドステイぎりぎり前、スキッパーはトラベラーをまたいで座るのが一般的です。スキッパーが極端に前乗りして完全にスターンを浮かせるスタイルは、おそらく船全体が前傾するせいでCLECLRの位置関係や風に対するセールの後退角が変わり、変な感じがするので、僕はあんまり好きじゃないです。

 微風のランニングでもガンネルが水面につかない範囲でヒールさせ、クルーはサイドステイぎりぎりかフォアデッキの上に座り、スキッパーもトラベラーの上ぐらい前に座ります。

 

センターボードアップ

 

 三つ目はランニング限定ですが、センターを上げきることです。ガスケットがぴったり閉じて、ボトムが完全に平らになるまで。風速5mのとき、センターボードを下ろしたまま走る場合と上げて走る場合では、VMGが秒速6センチ違うらしいです。(*1) そんなに違うんだね。

 ランニングでセンターボードを上げきっちゃいけないのは、超微風でスピンのフットがパッツンパッツンになるほど上って走るとき、サーフィングするためにバウを振るとき、そして強風でバランスが不安定なときです。それ以外のときは、完全にあげたほうが速いです。

 上げるんだったらガスケットが閉じきるまであげましょう。ガスケットが開いているとガスケットの隙間からセンターケース内に水が流れるので、摩擦抵抗を発生する接水面はガスケットの外側+内側+センターケース内の諸々ですが、閉じればガスケットの外側だけになります。ガスケットの形状抵抗もなくなります。

 陸上で試してみれば分かると思うのですが、普通にセンターアップロープを引いただけではガスケットが完全に閉じるまでセンターを上げるのはけっこう難しいです。クルーがセンターのヘッドを足で押し下げるか、センターアップロープを工夫して、ほんとに目一杯あげる必要があります。

  

ボトムの表面処理

 

 接水面の表面テクスチャに関しては“ツルピカ派”と“サメ肌派”、表面コーティーングに関しては“水はじき派”と“ぬるびちょ派”に分かれ結論は出てません。

 スピードテストで差がでるほどの違いがないってことでしょう。400番ぐらいのペーパーで研いであれば問題ないみたいです。

  

形状抵抗

 

 形状抵抗ってのはつまりアレです。調べてみてください。形状抵抗を減らすには、色々ありますね。

 たとえ強風でも必要なとき以外はベーラーを閉めます。特にスタート直後の競り合いは大事なので、必ず水を全部抜いてベーラーを閉めておきます。(強風のときはレース中にあけられるように、ロックはかけません)

 ガスケットは大切に。おそらくガスケットは最大の抵抗物でしょう。よれよれしたり、折れたり、割れたりはありえません。ガスケットに関してはまた別に書きます。

 スタート前にはセンターボードに海草やごみが引っかかっていないか、毎回必ず確かめます。

 そしてシートや服の端を水につけないように。スピンシートやコントロールロ-プですね。

 

*1 “470級の帆走性能解析”増山豊 金沢工業大学 2006年

 

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