最近興味がマストに向いてるんで、、、。
セールにかかった風圧は、リーチテンションを介してマストトップに伝わり、マストトップを斜め後ろに引っ張ります(byトータルプラント)。またメントリでブームが出たときも、ブームバングの力がリーチを介してマストを斜め後ろに引きます。マストは捩れながら、斜め後ろにベンドします。このベンドの、横方向への成分がサイドベンドです。
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A.マストのトップセクション(サイドステイの付け根より上)が湾曲して、マストトップが風下に動く。
B.マストのミドルセクションが湾曲し、サイドステイの付け根を支点にしてマストのトップセクションが風下に、ミドルセクションが風上に動く。
Aのサイドベンドは、当然トップセクションが柔らかいほど起こりやすいです。逆に、トップセクションの潰し方を変えるなどしてマスト自体の堅さをいじる以外に、このサイドベンドをコントロールする方法はありません。
Bのサイドベンドは、マストを立てた状態でミドルセクションが柔らかいほど、すなわちマストの素管自体がサイド方向に柔らかいか、スプレッダーが短い、もしくはサイドステイのテンションが低いほど起こりやすいです。またトップセクションが堅いほど、風圧が逃げずにミドルセクションまで伝わってくるし、マスト全体としてのサイド方向の堅さを保つためにミドルセクションを柔らかくする必要があるので、Bのサイドベンドが起こりやすくなります。
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サイドベンドすると、マストのカーブが増すのでメインが浅くなります、
マストが湾曲してマストトップとブーム先端の直線距離が短くなるので、メインのリーチがゆるみます。
以上は、A、Bのサイドベンドだけでなく、前後方向のベンド(F/Aベンド:fore/aft bend)でも同じことが起こります。
また、サイドベンドによりリーチが開くので、リーチの形を保つためにさらにリーチテンションを加えることになり、これによりマストがベンドしセールが浅くなります。スプレッダーの開き方やプラーではコントロールできないメインセールのトップの深さも、サイドベンドのしやすさを変えることでコントロールできます。
Bのサイドベンドの場合、
マストのミドルセクションと一緒にメインのラフ側が風上に移動し、この部分のメインがツイストします。
メインのラフ側が風上に移動するので、ジブとのスロットが開きます。
ジブハリの付け根からリーダーまでの直線距離が短くなるのでジブのリーチがゆるみます。
つまりサイドベンドによりマストトップが風下に動く量が同じでも、AによるサイドベンドなのかBによるサイドベンドなのか、すなわちベンドが起こる高さによって効果が変わってきます。
まとめると、AでもBでもメインが浅くなりながらツイストします。Bではこれに加えて、ジブカットと同じようにスロットを広げる効果があります。マストのカーブが増すのでメインが浅くなります。 |
セーリング中(テンションが入って、スプレッダーが効いている状態)のミドルセクションをある堅さにしたい場合、堅いマストに短いスプレッダーを組み合わせるのと、柔らかいマストに長いスプレッダーを組み合わせるのでは違いがあるでしょうか?
マストの素管自体の堅さによるサイドベンドへの抵抗は、マストの全長に渡って起こります。
一方で風圧により増加した風上側のサイドステイテンションがサイドベンドを止める力としてマストに伝わるのは、スプレッダーの付け根だけです。すると傾向としては、S字のサイドベンドが起こることになります。もちろんこれは極端な話で、実際はスプレッダーのブラケット付近の弯曲が少ないサイドベンドになると思います。
ところでスプレッダーの付け根付近は、ジブカットせずにメインを出していくと、一番最初に裏風が入る場所です。この高さでマストが曲がってこそ、Bのサイドベンドの“ジブのスロットを広げる効果”が発揮されると思います。
というわけで、堅い素管に短いスプレッダーを組み合わせ、マスト全体をきれいにサイドベンドさせるほうが有利だと思います。
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